――最後は、BABYMETALの「ヘドバンギャー!!」です。
「テーマがメタルじゃなかったんです。V系ですね、ヴィジュアル系。BABYMETALの場合は、海外からのアクセス数がすごく多いというのもあって、そこでヴィジュアル系の音楽と一緒にメタルを見せるみたいな、ちょっと勘違いしてる日本人みたいなテイストでいいのかなと思って作ったというか」
――それまでのBABYMETALって作家さんが複数いて、コラージュっぽい作りだったじゃないですか。それが一貫したサウンドになってたのがすごく新鮮で。
「俺もそういう、コロッと展開が変わる音楽とか普通に作りますけどね。急に変わるのも割かし好きなので。なんだけど、シングル3枚目、3球目に直球を投げるっていうプロデューサーの考えで」
――(プロデューサー)KOBAMETALさんの。
「はい。BABYMETALっていう音楽を確立させるために、同じものをやるのもありかと思うんですけど。まあ、今回はバンと直球の曲にしようっていう話があって」
――ツイートで見たんですけど、ソイルワークのドラムのMIDIデータを使ったと。
「そうですね、売ってるんで」
――売ってるんですね! そのネタの引っ張り方がまたすごいなと思って。
「メタルって、正確にやることが重要じゃないですか。でも普通に打ち込むと正確すぎるんです。ツーバスがダカドコダカドコいうのに人間味がないというか」
――ジャスト過ぎる?
「ジャスト過ぎると打ち込みになっちゃう。“人間が叩くすごく正確なもの”にしたくて。かなり正確なんですけど……」
――人間っぽくなるんですね。
「うん、意識してやったつもりです。<ヘドバンギャー!!>に関してはテンポ・チェンジが激しくて。あれでリミックスは作れないと思います。細かく変わってるんで。Bメロでちょっと落ちて、サビでまた上がって、みたいな。で、またその間奏でぐっと下がって、で、また次はダーッと」
――Bメロのちょっとっていうのはどのくらいですか?
「(BPMで)3ぐらいですかね」
――普通にパッと聴いたら気づかないぐらいですね。
「そうですね。あと、<ヘドバンギャー!!>で生まれて初めて“パンパパンヒュー”をBメロに入れたんですよ。俺もずいぶんアイドルに寄ったなあ。ツーバスだったらいいかな、みたいな。♪ダカダカダカダッダーンッ!って。ツーバスでPPPHはないだろうって」
――Bメロはそういう狙いがあったんですね(笑)。
「まあでも、基本的にPPPHはあんまやりたくないです。ツーバスだったら面白いかなっていうのがあったけど、ここでこう乗れみたいなのはヤですね」
――でも実際、異様な盛り上がり方をしますよね。母体のさくら学院はわりと大人しいグループなので、かなりすごいことだなと。
「基本的にデスメタル大好きなので、歪んだ重たいギターの音がバンッって来るだけで“うおー!”って盛り上がるというか。ああいう、ヘル感があるアイドルってなかなかいないですからね」
――ロックっぽい、へヴィなサウンドやるアイドルってすごい増えてるんですけど、なかなか、ああはならないですよね。
「あれ聴きました? ***なんとか」
――*****ですか?
「肩を並べられる意味が全然分からないんですよね」
――あはは。
「全然分かんないんすよ! あれは、AKB48のギターをちょっとメタルのおじさんが弾きにきました、みたいな体ですよね。BABYMETALとは全然違いますよ」
――なんだかんだ、ほとんどのグループが振り切れられないんですよね。だから、それこそ、ももクロのリミックスで、あそこまで持っていけるのがすごいなと思って。
「でも何がすごいって、一番すごいのはキングのディレクターじゃないですか? 俺の曲をいいと言ってしまう」
――採用してしまう(笑)。
「仕方ねえなコイツ、みたいな。NARASAKIなら仕方ねえ、みたいな」
――ロックなサウンドが流行っているから、NARASAKIさんにオファーはあるんじゃないんですか?
「ないですよ、別に。あるわけないじゃないですか」
――そうなんですね(笑)。NARASAKIさんはアイドルの音楽をやるのはウェルカムなんでしょうか。
「でも俺、アイドル好きが求めてるものは提示できないんで、専門的な作家にお願いすればいいんじゃないですかね。作るにしても勘でやってるんですよね」
――勘(笑)。
「最近はアイドル・イベントとか行くようになって“なるほど、こうすればみんな喜ぶんだね”みたいなことはちょっと勉強したんですけど……分かんないんですよね。もう全然分かんないんで、勘でやってるんですよ。そんなワケなんでワンコードしか作れない」
――ワンコードは逆に最高ですけどね(笑)。アイドル・ソングはなんだかんだ似たものも多いですから。
「最近、掟ポルシェくんから教えてもらった東京女子流はいいと思いますね。俺、トラックしか聴かないんで、基本的に」
――トラック、カッコいいですもんね。
「はい。これはカッコいいなと。そしたらちょっと前に、この連載で松井(寛)さんのを読んで。そうかあって」
――松井さんは、本当に真面目に音楽のこと考えてらっしゃる方で。
「俺だって真面目に考えてるよ(笑)。真面目じゃないか……」
――いやいや、そんなことないです(笑)。
「トラックがカッコよければ何も問題ないです」
――NARASAKIさんの次の作品にも期待してます。ありがとうございました!
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