『METAL HAMMER』誌は、BABYMETALをデビュー間もない頃から紹介していたメタル誌となり、昨年同誌で開催された読者による人気投票「Heavy Metal World Cup」では欧米アーティストを破ってBABYMETALが優勝していた。
表紙を飾った同誌では、『METAL HAMMER』が開催するアワード「GOLDEN GODS AWARD 2015」のセレモニーに出演し披露した、ドラゴンフォースとのスペシャルコラボレーションライヴの模様や、サプライズ出演した「Download Festival 2015」のレポート、インタビューが掲載される。
実際、ワンマンライヴは素晴らしかった。ワールドツアー完遂の祝福感が圧巻の熱量を生んでいた昨年9月の幕張イベントホール公演。さらなる進撃の黙示録の如きメロディックスピードメタルアンセム=“Road of Resistance”で壮大なシンガロングが巻き起こった、今年1月のさいたまスーパーアリーナ公演。どちらも音楽的に/パフォーマンス的に/演出的に見て大満足のステージだったし、ホームならではの一体感にあふれてもいた。
そして。基本的にBABYMETALのライヴは、ワンマンであれフェスであれ、メンバーが曲間に微笑ましいMCをすることもなく、ひたすらショウに徹したストイックなステージングが施されている。極論すれば、個々のメンバーの予備知識を知らなくても――ライヴを初めて観た人も、それこそさくら学院当時から長年応援しているファンも、等しくその音楽とアクトを堪能することができる。「知識や教養をたくさん蓄積した人が優位に立つ」というサブカルチャーの象徴とも言えるジャンル=ヘヴィメタルを主戦場としながらも、ビギナー/マスターの差異もメタル/ポップの境界線も無効化し「外の世界」へ向け発信する――ザ・ドアーズ風に言うところの「Break On Through To The Other Side」なBABYMETALの構図は、極めてカウンターカルチャー的、ロック的なものだ。
フェスという名の「アウェイ戦」の後には、BABYMETALの健闘を「ホーム」=ワンマンライヴで称えたくなる。が、その後にはまた「アウェイ」で鮮烈に闘う姿を無性に観たくなる。それまで特にファンではなかった人が、フェスの場でBABYMETALを観て魂を昂らせていく図そのものが至上のエンターテインメントになる――今年のUK「Download Festival」やUS「Rock On The Range」をはじめ海外の名だたるフェスを沸かせ支持を拡大し得た背景には、BABYMETALの「常に外に向かって攻め続ける物語性」と、その物語を今この時代の「現実」として繰り広げるメンバー自身の表現力と覚悟が確かに作用しているはずだ。海外フェスのコワモテ客たちも、彼女たちのパフォーマンスの中にそのロックな姿勢と構図を感じていたことと思う。
「フェスへの出演は『ワンマンライヴへの呼び水』」という視点をも遥か置き去りにしたところで、フェスとワンマンのでっかい輪廻を描いているBABYMETAL。8月のサマソニ→ドイツ2公演→UK「Reading & Leeds Festivals 2015」出演を経て、9月からは初の本格的国内ワンマンツアー「BABYMETAL WORLD TOUR 2015 in JAPAN」も開催される。ますます目が離せない展開になってきた。(高橋智樹)
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